Jinaの途上 6 【何で青森?】

昨日のJinaの途上 5 【A社のウィッグを7台】 東北、北関東のお客様からのお問い合わせが続き、何故か東北とはご縁があるなぁと感じています。
こんなこともありました。

Jinaサロン開業以前に、一時期アートヘアー の難波店に応援に行っていました。

1人のお客様が、泣きながら電話してこられました。
「私のお金を返してください。私にとって50万円は大金です。
 そのお金で作ったウィッグが、ぶかぶかで簡単に脱げます。
 デザインも気に入りません」
私が契約したお客様ではないので、本社に電話で事情を話すと
「前にも一回作り直している50万に値引きした客でしょ? 
 もう弁護士に任せなさい。相手にしなくていいよ」
との事、
でもそのお客様の声がどうしても気になるので、
難波店のスタッフに、ご自宅に訪問してくると話すと、当時、難波店に赴任してきたばかりの本社のH技術部長が、
「それなら私も一緒に行くよ」
と東大阪のお客様宅に同行してくださいました。
ご自宅を訪問すると、怖い表情でドアをかすかに開けた隙間から
「帰ってください。とにかくお金を返してください」
の一点張り
「ウィッグを見せていただけませんか?」
と何度も丁重にお願いすると、渋々家にあげてくれました。
確かに全体に少しゆるい
しかも、このお客様は妊娠中。間も無くお産を控え、きっと不安だったのだと思う。
万が一、出産の途中で脱げてしまったらと〜

H部長がそのウィッグを手に取って、針で、全体に糸を通すと、少し緩かったウィッグがお客様の頭にピタッとおさまった。
狐に摘まれたような顔のお客様、
「えっ? ぴったり〜」
「はい。ほんの少しの緩みなら、針を通すだけで締まります。
 その上で、もし髪が増えてきつくなればこの糸をぬけばいいんです。デザインも変えられますよ。どのようにさせて頂きましょう?」
「もう少し軽く優しい感じにしたいんです」
「お客様の場合、もう少し軽くして、ここにウェーブがある方がお似合いになるように思います。お子さんが生まれた後も、髪に時間をかけなくても湿らすだけでデザインが戻せますよ」
「今からでも、そんな風に変えられますか?」
「はい。もしよかったら、一度持ち帰って、髪の量を調整し、緩くパーマをかけてから、明日もう一度来させて頂いてもよろしいですか?」
「はい。お願いします」
帰りは笑顔で見送っていただきました。

翌日、再度H部長と訪問、
別人のような笑顔で迎えてくれました。
実際につけて微調整のカットをしていると、涙ぐみながら
「ありがとうございました。諦めていたのに、本当に嬉しいです。お二人に食べていただきたくてパンを焼いているですが、焼き上がりに後1時間くらいかかります。もう少しだけお待ちいただけますか?」
次の仕事が迫っていたので、
「ありがとうございます。残念ですが、お気持ちだけで充分です」
とそのまま帰りました。

そして数年後、Jinaサロン開業後に、私の携帯にお電話くださいました。
「実はあの後、青森の実家に帰ってきているんです。
 ウィッグのスペアを作りたいんですが、どうしたらいいかと困っています」
「青森?青森には提携美容室があるのよ。初めて講演会をさせてもらったのも青森で、提携先の第一号店も青森やねんよ」
「え〜っ 何で青森?」
「ご縁やねぇ。定期的に行っていてるから、また会おう」

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両サイドは、被災地にいつも真っ先に駆けつけるライオンズクラブの青森の仲間です。

今では青森の身内、みたいな存在です。3年前の春、いつものボランティア仲間がいる弘前で一緒に桜を観に行きました。

あの日、このお客様の家に同行してくれたH部長。
お客様を大切に思う気持ちに、互いに共鳴し合い、後にJinaに来ていただくきっかけになった出来事です。

明日Jinaの途上 7 【ドイツからの電話】に続く〜

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