Jinaの途上 8 【突然の提案に!】

昨日のJinaの途上 7 【ドイツからの電話】など、ご紹介しきれないほどのなくさんのエピソードに背中を押され、たまたま出会った髪に携わる仕事を続けてこれました。

思えば、化粧品会社、商社の受付嬢、新聞記者、ブライダルアドバイザー、アルバイトも含めると、飲食、服飾の店員、病院の受付、様々な職種に就いてきました。

それらは、腰を据えて仕事ができない、気が多い、根性がないなど、一般的な価値観からは否定的に見られる状態だったのかも知れませんが、この仕事だけは、自分でなければと思えたり、自分だからこそと思える瞬間に恵まれ、今も諦めずに続けていられるのだ思っています。
【多動力】と言う言葉をホリエモンが発信し、世の中の価値観も緩やかに変わってきました。
私自身も、経験したことの全てが、無駄なく役に立っていると実感しています。

開業11年目に、Oさんと言う美容師さんから手紙が来ました。
「明石さんのブログを5年間読んできました。明石さんの下で働きたいので、今オーナーに退職をしたいと話しています。是非一度会ってください」
几帳面で綺麗な字で綴られた内容にびっくりし、サロンに来てもらいました。
美容学校を卒業してずっと同じ店に勤めていること
後輩の指導を任されているが、年々負担になって来ている
ヘナカラー やウィッグ、これからの美容に必要不可欠で、Jinaサロンなら、お客様を大切に自分らしい仕事ができると思う。
と言うような内容でした。
その上で、毎週休みの日に勉強に来てもいいか?もちろん無償で、とのこと

こんなに真剣に考えてくれている美容師さんがいるのかと驚き、喜んで受け入れました。
1年後には、今のお店を円満退職しJinaサロンに来ると言うのです。

毎週月曜日にシャンプーのレッスンに通ってもらい、ウィッグの勉強も始めました。

そして晴れて翌年の6月、OさんはJinaサロンのスタッフになりました。
驚いたことに50名ほどのお客様も、彼女を慕ってついて来てくれました。
元店長をしていただけに、売上管理、在庫管理から仕入れまで全てを細かく把握。その仕事ぶりを頼もしく感じました。

ある日、元からいたAさんから、
「オーナーがサロンにいると、Oさんのお客様が気を使われるので、できるだけ事務仕事は家でされたほうがいいと思います」
と助言されました。

えっ? そうなん?
なんか違うような気がするけど… せっかくOさんを慕ってついて来てくださったお客様がリラックスできないのは申し訳なくて、サロンに出る回数が減り、滞在時間も少なくなりました。

そして、Oさんの私に対する態度も少しずつ変わっていきました。

うん? なんでかな?
違和感を感じつつも、何が原因かわかりません。

9月に入って、2人から今後のために、今の内にもう少し小さなお店に移った方がいいのでは?と提案を受けました。
Oさんは自分でつけているノートを開き、
「オーナー、このままではもっとしんどくなりますよ」

確かに徐々に客足は落ちている
美容室との提携も足踏み状態

このままでは近い将来行き詰まる。
ただ、開業の時の経緯、思い入れ、とても愛着のあるサロンを簡単に手放す気にはなれませんでした。

話し合いがうまくいかず、いつの間にかギクシャクするようになっていました。
「小さなところに移る気はないよ」
と伝えても、強硬に迫ってくる2人に思わず
「ここは私の会社です」
と言ってしまいました。
「いいえ、オーナーの会社ではなくお客様あっての会社です。私たちはお客様を一番に考えているので、お客様のためにも、まだ体力のある今のうちに移る提案しています。私たちにも生活がありますから」
と… そして、
「そこまで言うなら、自分たちで小さなお店を探してみたら」
と半ば売り言葉に買い言葉状態で言ってしまいました。

そして、11月30日
「私たち2人で1月5日に、このサロンのすぐ裏で新しいサロンをオープンすることにしました。オーナーが10月25日に自分たちで探せとおっしゃったので、探しました。今までオーナーが大切にしてこられたお客様は、私たちが責任をもって大切にフォローします。安心してウィッグのメーカーとして頑張ってください」
二の句が告げれない。
えっ?
そんなことになっているの?
あまりの事に頭が真っ白!

この時は反論すらできなかったけど、冷静になると、そもそも小さな店に、と言い出したAさんが、
「背が高いのでシャンプー台が低くて疲れる」
と言ってきたので、それならとシャンプー台を新しくするための改装工事をしたのが春先。
数ヶ月後に移転の提案、他意はなかったのか?と首を傾げてしまう。
真新しいシャンプーユニット、技術室もAさんの提案で色々手直しし、新しい備品も増えていた。それら全てが無駄になってしまった。
新店舗に入れる器具と商材はOさんの馴染みのデーラーが、全て準備するらしい。

これって、どちらが言い出した話?
今でもわかりません。

突然、「1月5日にオープンします」と言われても、たった1ヶ月で次の人材を補充するのは無理。

Jinaサロンでは、どんなベテランさんでも、約1ヶ月研修して育毛シャンプーを覚えてもらい、それが人気メニューでもある。
ましてウィッグ の技術は何ヶ月もかかる。
死刑宣告を受けた気分。

この状況をどうお客様に説明する?


明日Jinaの途上 9 【泣いてください】に続く〜

Jinaサロンの個室での接客風景



郵送でのウィッグシャンプーサービス

Jinaでは、提携美容室がお近くにない場合、ご購入いただいた医療用ウィッグのシャンプーを宅配で承ります。

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